City Lights

from kyoto

一個人としての尊厳

昔、島崎藤村の「破戒」を読んで思ったのは、 「人間という一見一個人として成立する者たちはむしろ群衆としてしかその存在の意義を見つけることができない」 という当時の高校生らしい誤ったものだった。 本当に悪い意味で馬鹿だった高校生の僕は、 その群…

フットワークの軽さと文学

フットワークが軽い 足の運びが軽妙、機敏であるさま。転じて、行動が迅速であったり行動の切り替えがすばやいさまなどを意味する表現。 (weblio 実用日本語表現辞典) 日本霊異記/今昔物語集/宇治拾遺物語/発心集(池澤直樹編集 日本文学全集08) 日本霊異記/…

いちご同盟

いちご同盟(三田誠広) いちご同盟 (集英社文庫) 作者:三田誠広 発売日: 2014/10/03 メディア: Kindle版 そのときは一生懸命に目の前のことに。 そして僕たちは受け入れる準備だって四六時中している。 つつがなく、しおらしく。 現実ってのは5:5の割合で曖昧…

カフェにある意味のないフォトグラフィを見た時

形式的なものに何かしらの意味を持たせようと日々邁進している我々に、 やはりカフェにある意味のないフォトグラフィ (フォトグラフィと言うと意味なさげな感がより深まる気がします) を見ると、何かしらの意味なんてものは それぞれの文脈においての恣意的…

地上と地下と半地下と

搾取する側とされる側 消費する側とされる側 資本主義とはそういうものだ ピザの箱をいくら丁寧に折り畳んでも 僕らの暮らしは豊かになりゃしない アメリカをいくら賛美しても 僕らの暮らしは豊かになりゃしない パラサイト 半地下の家族(ポン・ジュノ) そ…

南京道路のPRADAの広告前から

三月のまだ寒い南京道路で マフラーに顔を埋める人々と。 淋しさは深さよりも広さなのだと そのとき知りました。 誰かと暮らすことがとても難しい僕は 塞がった蟻の巣の中です。 南京道路のPRADAの広告は 薄汚れた空気の中、一層煌びやかだった。 誤りはひと…

ピンク色のねこを見た話

昨晩コーラを買いに行ったとき、 ピンクのねこに遭遇した。 遭遇したというのは誇張ではなく、 ほんまにそいつは目の前に現れた。 それからちっさい屁をして立ち去った。 こんなふうにホラ話をしてから 「あれ、ほんまにこれってあったちゃう?」 と虚構を現…

明日には忘れるかもしれない風景について

月がちょい欠けのとき、よく思う。 この月のこと、明日になったら忘れてんだろうな、って。 朝起きて思うことは、「起きるの面倒だ」しかなくて、 「昨日の月、ちょい欠けだったな、乙だな」 それはない。 忘れれば忘れるだけ、大切なことは覚えておけるのか…

彷徨う魂魄

ギケイキ(町田康) ギケイキ 千年の流転 (河出文庫) 作者:町田康 発売日: 2018/08/17 メディア: Kindle版 ほんだらね、ゆうたらね、自分のしゃべってる言語はね、誰かしらの言語であるからにしてね。 いま一度、言葉について考えねばならない。 この言葉は…

映画は映画だ

映画は映画だ(チャン・フン) Twitterを見ているとキム・ギドク監督の訃報。 まだまだこれからだった人。 映画は映画だ。 どちらが本物か。カメラの向こうかこちら側か。 死生観というと大仰な気がするから、そんなことではない。 むかし、死というのはその一…

逆行するのは光か闇か

TENET(クリストファー・ノーラン) IMAXで観るべしと誰かが言っていた。 その通り。 映画というより映像体験。 観るというより感じる。 『ダンケルク』を超える衝撃!クリストファー・ノーラン監督最新作/映画『TENET テネット』予告編 現世界は逆行への抵抗…

冬のおいしい話

らぁ麺 とうひち 紫野泉堂町まっすぐ北に、 駐車場あります。並びます。 スープ売り切れます。 おいしすぎます。 「しばらく醤油ラーメンはここでいい」 そんな気持ち。 らぁ麺 とうひち〒603-8475 京都府京都市北区大宮北箱ノ井町33-6 セルリアンハイツ1F07…

AKIRA

革命とは、世界がひっくり返ること ひっくり返るというのは価値が逆転すること 労働の対価としての金ではなく 金の対価としての労働 崇高な倫理観は裏に、暴力が表になる 人は新しいものを生み出す創造と同じものを生み出す再構築によって進化してきたけど A…

ペンギンハイウェイ

ペンギンハイウェイ(石田祐康) ペンギンいちばん好きな動物。 「好きなら好きってもっと合理的に伝えるべきだ」 少年、好きなら好きってもっと合理的に伝えなさい。 『ペンギン・ハイウェイ』 スペシャルトレーラー 生命はもうわけのわからんところに進ん…

City Lights

夜は深い。 もう会えない人のことを少しだけ考えてみた。 何してんやろ。 街の灯を見るとき、ときどき考えている。 10桁の番号、忘れてしまった。 出町柳の月 忘れてはならないことは残さなければ。